私が高校生の頃、父親から「忙しいから手伝って」と言われ、休みの日に家業の塗装業を手伝うようになりました。そして高校を卒業すると、そのままなんの違和感もなく、家業に従事するようになりました。
入社後は、父親や当社の先輩従業員について、塗装の技術を身につけて行きました。当時は景気も良く、ゼネコンの下請けをしている塗装店の下請け、つまり2次下請けとして、岡山県内で公共の建物・マンションの吹きつけ工事を中心におこなっていました。朝早くから夜中まで現場を掛け持ちし、休む暇もないくらい工事をしていたことを覚えています。
その頃、当社には最大15人くらいの社員がいました。好景気だったため、社員旅行では沖縄・北海道などへ行き、毎年どんちゃん騒ぎをしていたことを覚えています。
しかし、景気の後退とともに仕事が激減。そこで、2次下請けから一般住宅の屋根・外壁塗装を直接受注するための経営改善計画を作り、取り組みを始めました。その矢先に、父が「ガン」で亡くなったのです。
当時は借金もあり、事業をリセットすることも考えました。しかし「兄弟3人でふんばって、親父の作った会社を続けよう!」と、力を合わせて事業を継続することにしました。
ところが、事業を続けるには直接、受注を増やさなければなりません。そのためには「いろいろと勉強せんとあかんなあ~」と思い、父の代から加入している地元の商工会での勉強会やセミナーに参加。経営指導員さんから「経営革新計画を作りませんか?」と誘われ、「商売していくには目標くらい無いといけんなあー」と一念発起し、革新計画に取り組んだ結果、平成25年6月10日に岡山県知事から承認されました。一時は半減していた収益も、大幅に改善して行ったのです。
父親の代の頃と比べ、現在では外壁の種類・塗料の種類も増えているため、下地をよく確認して塗り替えをしないと不具合が発生します。そこで当社では、毎年、関西ペイントさん・水谷ペイントさんの勉強会に参加して、素材の変化に対応できるように常に学んでいます。
なぜなら、私たちは施工したお客様、お一人お一人に対して
「施工後も末永くお付き合いできるように」
と心がけているからです。
下請け仕事をしていた頃は、ほとんどお客様と接する機会がありませんでした。しかし今では、直接、お客様とお話する機会に恵まれるようになりました。そして私たちの仕事ぶりをご覧になり、「こんなに丁寧な仕事をしてくれて、ありがとう」とのお言葉をいただけるようになりました。このお客様からいただくお言葉が、父親の頃にはなかったことであり、今の私たちのなによりの励みになっています。
そして、今。
10年後、15年後に「神崎さん、また塗り替えたのむわー」というお言葉をいただくために、日々、精進中です。